親の入院生活がはじまる時、知っておきたいこと

私の母が、2年前突然倒れて救急搬送され、一刻を争う事態から無事一命をとりとめました。しかし、その後に待ちかまえていたのが、母の入院生活と母がいない父の自宅での生活でした。

ここでは、突然の親の入院生活がはじまった時の対処法として入院から退院まで、子供のあなたが少しでも精神的な負担を軽くするための「知っておきたいポイント」をお伝えしますので参考にされてみてくださいね。

入院に必要な「手続き」と「入院診療計画書」

入院に必要な手続きと入院保証金が必要

入院が決まりましたら、まずはじめに入院手続きをすることになります。その中の書類の一つに「身元引受書」というのがあります。
身元引受書は、医療費の支払いや退院後の引き取り、亡くなった場合には遺体の引き取りをしますよというものです。

書類の中で記載する電話番号は、緊急連絡先になる場合があります。緊急連絡債には、頻繁に連絡が入ることが多く、
いつでも連絡を受けられる方がお勧め。家族の中で誰が最適か、適任の人を選んでサインするほうがいいでしょう。

病院によっては、別世帯の連帯保証人が必要とする場合があります。

また、入院の際には、「入院保証金5万円~10万円」が求められます。これは、退院時の支払い費用となりますが、カードが使えず、「現金のみ」という場合がありますので注意が必要です。

この他、入院手続きで必要なものは、健康保険証、診察券、印鑑、入院申込書などが必要になります。

入院診療計画書(クリニカルパス)でわかること

実際にこれから入院生活がはじまると思っても全然想像できませんよね。そこで入院中のスケジュールが細かく記されている分かりやすい計画表を渡されます。これが「クリニカルパス」とよばれるもので入院から退院までの生活のイメージできます。親や家族にとっても役にたつ資料なのでしっかりみておきましょう。

この入院診療計画書を渡されない場合は、標準的な経過を予想しにくいケースかもしれませんが、計画表の目安になる資料は必ずあるはずなので病院に確認してみるとよいでしょう。

入院中の相談は「ソーシャルワーカー」に。

入院費用や入院生活の悩みを相談できます

いざ親が入院するとなるとさまざまな疑問や不安がつきものです。そんな時の入院中の相談は、「医療ソーシャルワーカー(ケースワーカー)」さんにお願いできるのでつきまとう悩みは解消できますので安心してくださいね

たとえば、「入院費用はどのくらいかかるのかしら?」、「高額なベッド代を請求されたけれど・・・」、「入院中、仕事が忙しくて親の付き添いができない・・・」、「遠方に住んでいるのでなかなか病院に行けないので、洗濯など身の回りの世話ができない・・・」など
これらの悩みは、すべてソーシャルワーカーさんに何度でも相談されるとよいでしょう。

また、入院中の病院職員の対応や病院の体制、設備などの不安や不満があれば、ソーシャルワーカーさんのいる窓口へ行って気軽に質問してみましょう。「相談は無料」なので費用の心配はありません。

退院後の療養生活や転院先の相談もできます

入院している親が、「えっ、もう退院?まだリハビリしているのに・・・」なんていうこともよくある話。「病院から退院ですといわれたが、一人暮らしなので介護する人がいない・・・」、そのような時には、転院先や施設なども考えていかなければなりません。

ソーシャルワーカーさんは、社会福祉士などの国家資格を持たれてる人が多く、退院後の自宅での療養や介護に不安のある方や転院先で悩まれている方にとって大変頼れる存在です。病院内に設置されている医療相談室や総合相談室などを利用されることをお勧めします。

もし規模が小さい病院で医療相談室や総合相談室がない場合は、医師や看護師、事務スタッフさんにそうだしてみるのも良いでしょう。

転院を考えるなら、「地域包括ケア病棟」や「老健」へ

長期入院ができない急性期病院

病院は、救急搬送で命の危険性が予測され運ばれる「急性期病院」と回復期に入り、リバビリなどをする「回復期病院」、さらには、がん・糖尿病などの長い治療を行う「慢性期病院」に分けられます。

救急搬送で運ばれた母は、急性期病院で高度な治療を受けたのですが、回復期に入ると早々に病院側から退院のお話があったのです。子供のわたしからすると病状はさすがによくなったとは言え、まだまだ家で暮らせるような状態ではなかったのです。

しかし病院側では、「急性期病院のため、急性期の患者さんを受け入れるためにベッドを空けなくてはならない。」という理由や診療報酬の面から長期入院をさせづらい病院側の事情があるようです。
それでも実際には母もこの急性期病院に救急搬送されて無事一命をとりとめたのですから、次の患者さんのためにと考えればわからないわけでもありません。

転院先情報はソーシャルワーカーさんからもらう

急性期病院を退院後も病気やケガによっては、まだ入院治療が必要な場合があります。そのような時には、回復期や慢性期の治療を行ってくれる「回復期リハビリテーション病院」、「療養病床」、「地域包括ケア病棟」などの病院に転院することになります。

家族にとっては、「もう、リハビリをはじめるの?」、「もう、退院なの?」と思われるかもしれません。しかし、病気やケガの度合いによっても多少違いはありますが、発症してから1カ月以内にリハビリを始めたほうがその効果に大きな差がでるからだそうです。
とても痛々しく見える高齢の親の姿でもそれはそのような意味があるからなのですね。

この他にも身体的に毎日の生活に不自由を感じたりする場合は、病院ではありませんが、「介護老人保健施設」に入所したり、「有料老人ホーム」に移ったりする選択肢もあります。

転院先については、患者さんの病状にも専門的な判断が必要だったりしますので病院窓口にあるソーシャルワーカーさんに頼むことで候補をだしてもらえてりしますのでまずは相談してみるのがよいでしょう。

高齢の親の老後を考えれば、これからも毎日を明るく、楽しく過ごさせてあげたいものです。できれば見学に行ってしっかりあなたの目で確認されることをお勧めします。実際に行ってみると病院や老人施設内の空気感というものを肌で感じることができるからです。

「退院時に行うケアカンファレンス」で在宅療養も安心!

安心できるのは、「退院支援」をしてくれる病院が増えているから。

いざ、退院となって「在宅療養」といわれても家族にしたら何が必要でどんな準備をすればいいのか、まったくわからないので困ってしまいますよね。そこでソーシャルワーカーさんや看護師が中心になって病院から在宅へ移すための「退院支援」というものがありますので利用されるとよいでしょう。

退院時の親の状態によっては、ヘルパーによる介護サービスや介護用品が必要になるかもしれません。また在宅医療(訪問診療や訪問看護)が必要になることもあります。最近では、このような退院支援が必要かどうか病院側が判断してくれるところが多いので、専門的なお話を含めて親が退院して家に戻る際には「在宅ケアをどうするか?」をしっかり把握して行えますから、とっても安心です。

ケアカンファレンスで退院後のケアプランを確認

その退院支援の一環として開かれるのが「退院時ケアカンファレンス」です。ケアカンファレンスは、医師や看護師、ソーシャルワーカーさん、そして患者や家族が集まって行われるものです。その内容はこのようなものです。
↓↓↓
▽医師や看護師さんが病状やケア状況を説明してくれた状態で、在宅で必要な介護サービスや医療、これからの通院などについて詳しく説明してくれます。
▽ケアマネージャーから今後の生活プランをケアプランに基づいて具体的な説明受けます。
▽患者本人、家族がこれからの意向をどうしたいか、意見を述べます。
▽退院後の在宅ケアについて全員で確認しあいます。

これらのことを退院時ケアカンファレンスでしっかりと理解することができますので「退院後の在宅ケア」にかんしての不安や心配はなくなると思われます。

しかし、病院によっては退院支援もケアカンファレンスも開かれないところもあるようです。
その場合は、「退院支援をしてほしい」とソーシャルワーカーさんに相談してみるか、親の住んでいる「地域包括支援センター」に相談するとよいでしょう。

まとめ

救急搬送で一命はとりとめたものの「すぐにリハビリがはじまったり、2週間で退院」なんてことがよくあることです。
その理由は、急性期病院に入院された患者さんは、病院側の都合で次の急性期患者さんの受け入れ体制をつくるために回復期に入った患者さんを回復期病院に転院を促したいからなんですね。

しかし、退院するまでに体力が戻っていなかったり、後遺症があったりすると自宅での暮らしに不安を感じるのは当然のことです。
そんな時に、病院のことから在宅療養に関することすべてにおいて相談できるのが、ソーシャルワーカーさんなのです。
わからないことはどんな細かいことでも聞いて家族全員で理解し、共有することが何よりも大切なことと言えます。

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