認知症の親との接し方を学ぶには、親の認知症の段階、親の今の心境などをしっかりと理解されていることが必要です。
認知症初期の段階で発見できた方は、症状は出てきている今の状況を本人ははっきりと理解していて「やりたいことが思うようにできない」、「その事を話すことが恥ずかしい」、「家族に迷惑をかけてしまうのではないか」、「TVの認知症番組のような、あんな姿は見せたくない」といった思いを抱えてしまっています。
たとえ、家族であっても自分の弱み見せるのは恥ずかしいとも思っています。
とはいえ、親であっても心のどこかでは親愛なる家族に「助けてほしい」と心のどこかで叫んでいて、さりげない思いやりや気遣いを求めているのです。
そんな親の胸の内を少しでもご理解いただいて「認知症の親との楽しい接し方」を学んでいかれることをお勧めいたします。
認知症を正しく理解してますか?
一概に「認知症の接し方」といっても症状や段階によって悩ましいものです。そこでこのページでは、症状が軽減できる親との大事なコミュニケーションのとり方をまとめてみましたので参考にされてみてください。
先ほどもお伝えしましたが、「認知症の人は、もの忘れの自覚がない」と思われている方もいらっしゃると思いますが、初期の方であれば、自分の記憶力の低下に不安を感じ、思い出そうとして思い出せないジレンマに襲われ、とても苦しい思いをして生活していたりします。
そんな親の気持ちに少しでも寄り添いながら、「私がサポートするから大丈夫だから・・・」と言って安心感を与えることが、何より大切なことです。
とはいえ、毎日の生活の中で自分が言ったことを良く忘れられたり、同じことを何度も繰り返されると、ついついイラっとしてくるかもしれません。
しかし、そこで怒ってしまったり、責めたりすると親の不安な気持ちをさらに増大させてしまい、混乱させてしまうおそれがあります。
認知症の介護をはじめられて、身体的にも精神的にも介護されているかたの疲れが溜まってきたりすると誰もが感じることでそんな時には、まず「ひと呼吸おいて、冷静さを取り戻す」ことが、何よりの接し方になります。
そのためには、親の言動一つひとつにすぐに反応せずに、落ち着いた気持ちで聞き入れてあげるような思いやりも大切だと思います。
だからといって、子ども扱いしたり、腫物にさわるような接し方をしてしまっては、「親は馬鹿にされている」と感じて、逆に悲しい気持ちさえ与えてしまうことになります。
認知症の初期段階なら、介護する人の心の中はをしっかりと見えています。一方的な介護をするのではなくて、「親を尊重する気持ち」は、忘れずに持ち続けてコミュニケーションをとっていきたいものですね。
認知症の親と「楽しい会話」がはずむコツ
毎日の介護生活に疲れが出始めるとストレスもたまり、どうしてもイライラしてくるものです。さらには親の記憶力や理解力が低下してくると、会話がはずまなくなり、しまいには会話すらしなくなってしまいます。
家族の間でそのような状況が続いてしまうと認知症の症状は悪いほうへ進んでしまいます。
認知症でも昔のことはよく覚えています。子供のころのアルバムを引っ張り出して「私が小学校に上がったときよ。おとうさん、若くてハンサムだったね。」などと話しかけてみましょう。
会話がはずむにつれて何度も同じことを話されたり、同じ質問をされた場合も怒らず根気よく対応してあげましょう。
毎日、このような話し方、接し方で楽しい時間を過ごすことができれば、精神状態はかなり安定してきますので認知症の症状が軽減してきたりすることもよくあります。
認知症の親との「おすすめの話し方」
認知症の程度によって話し方は違ってきますが、しっかりと相手の目を見て明るい表情で優しくゆっくり話すようにします。
そして、親の反応を見ながら、お話の内容が理解できていないようすでしたら、できるだけ一つのことだけを取り上げてシンプルに話されるといいでしょう。
たとえば、混乱させる話し方は
「今日は、病院へ行って、そのあと近所のお店でランチしましょう♪
そして帰りには、駅のそばのショッピングセンターで夕飯のおかずを買って帰ろうね。」
▽
といった話し方は、何を・・・どうすればいいのか・・・全く理解できず、余計に混乱をまねくことになってしまいます。
わかりやすい話し方をするなら♪
まず病院へ行く前に・・・
「今日は病院へ行きましょう」
▽
病院での診察が終わってから・・・
「近所のお店でランチしましょう」
▽
昼食が終わったら・・・
駅のそばのショッピングセンターで夕飯のおかずを買って帰ろうね。
といった話し方が、親を混乱させることなく、怒りたくなるようなこともなくなります。
認知症の親に混乱させずに伝えるには、一つひとつ整理して、思いやりをもって話すことです。これが、「伝わりやすく、わかりやすい話し方」と言えますね。
認知症の親に「絶対NGな話し方」
毎日の生活のなかでいつもベストな接し方や話し方ができればいいのですが、それができない時もたまに出てきます。そんな時でも絶対にやってはいけない「NGな接し方や話し方」がありますので気を付けておきましょう。
・険しい顔で接する。
・イライラして怒る。
・大声を出す。
・無視する。
・小突いたり、叩いたりする。
・忘れてることを責める。
・「早くしてね」などとせかす。
・「また忘れちゃったのね」などと見下したような言い方をする。
認知症の親にとって、家族の間で「大きな怒鳴り声」が聞こえたり、イライラ騒がしくしていると不安感がいっそう高まってきます。
どうして周りでは、怒鳴り声がするのか、騒がしいのか、その理由がもしかして自分にあるのではないかと不安になるのです。
そうならないためには、静かな環境を整えることで親の気持ちを落ち着かせることが何より大事で認知症の軽減には欠かすことができないひとつです。