相続税のおもな「節税対策」の方法

親からの遺産を相続して相続税を支払うのは、残された配偶者や子どもたちです。その相続税についてほんの少しの学びや知識をつけることで安くもできたり、払わずにすむこともできるのです。

そこで相続税を払うにしても、なるべくなら安くすませたいという方のために前にご紹介した「小規模宅地などの特例」など税制上の軽減措置のようなものが他にないかいろいろ探したところ、4つほどありましたのでご紹介いたします。

相続税のおもな「節税対策」

①財産の評価額を下げる
②生前贈与をする
③生命保険に加入する
④相続人の数を増やす

それぞれ簡単に説明いたします。

財産の評価額を下げる

もし、親が5,000万円の預貯金を残して亡くなった場合は、その5,000万を対象に相続税を計算されることになるのですが、

ところが、この5,000万円を生前に投資用マンションとして現金で購入していたら、ある一定要件を満たすことで土地の相続税評価額が50%減額されるというものです。

現金5,000万円 → 相続税対象金額 → 5,000万円
マンション購入 → 相続税評価額  → 2,500万円

というように結果として相続税が安くなるわけです。

このように遺産として相続する財産の形を変えることで相続税の対象になる金額が違ってきますので安くすることが可能になるわけです。

生前贈与をする

親が元気でまだ生きているうちに子どもや孫に財産の一部を贈与してもらうことで、相続税の対象となる財産を先に減らしてしまうという方法です。

しかしこれは、相続税を減らす対象にはなるのですが、生前に財産を贈与するということで「贈与税」がかかってくることになり、むしろ、贈与税のほうが高くなってしまうという可能性もあるので要注意です。

そこで、調べてみると親から子ども、孫へ贈与するにあたっては、その目的が重要で、教育資金や結婚資金などの目的となれば、なんと非課税になるという特例があることがわかりました。

教育資金目的の贈与税が非課税になる特例措置

贈与の受取人が、30歳未満の子どもか孫 が対象で
非課税金額は、1,500万円(うち学校以外の塾などへの支払いは500万円まで)までです。
2019年3月31日までの期間限定 です。

注)受贈者が、30歳時点で使い残しがある場合は、贈与税の対象になるので要注意です。

結婚・子育て目的の贈与税が非課税になる特例措置

贈与の受取人が、20歳以上50歳未満の子どもか孫 が対象で
非課税金額は、1,000万円(うち結婚費用は300万円まで)までです。
2019年3月31日までの期間限定 です。

注)受贈者が、50歳時点で使い残しがある場合は、贈与税の対象になり、贈与してくれた人が死亡した場合は、相続税の対象となるので要注意です。

住宅取得資金目的の贈与税が非課税になる特例措置

贈与の受取人が、20歳以上の子どもか孫 が対象で
非課税金額は、最大2,500万円(要件をみたせば,3,000万円まで)までです。
2021年12月31日までの期間限定 です。

注)受贈者が日本国内に住所をもっていて、所得金額の合計が2,000万円以下などの要件があります。

など、目的によってかかってくる贈与税が非課税になる特別措置がありますので親が元気なうちに子どもと一緒に相続について考えられるのなら、「生前贈与」など頭の片隅におかれて、期間限定なので該当する場合は、早めに利用することをお勧めします。

生命保険に加入する

将来、親が亡くなった際に、死亡保険金を相続人が受け取る場合にはその一部が非課税になります。
この場合、「500万円 × 法定相続人の数」にあたる額は課税されません。

たとえば死亡保険金が3,000万円で、法定相続人が3人なら、
500万円 × 3人 = 1,500万円 で、
1,500万円までは相続税がかからないということになります。

また、死亡退職金も同じような非課税限度額が設けられています。

相続人の数を増やす

相続税の基礎控除というのは、相続人の人数が多いほど額が大きくなりますので親せきなどと養子縁組をして「相続人を増やす」というのもひとつの方法です。

たとえば、親が親戚の子どもを養子縁組にしたとします。
すると通常の基礎控除額が、600万円増加するというもので、さらには生命保険金や死亡退職金の非課税限度額も、500万円ずつ増加するのです。

つまり、基礎控除額が上がると課税の対象となる遺産総額が下がりますので相続税が安くなるか、もしくは支払わなくてすみます。

しかし、この方法は実子がいる場合、1人だけしか養子縁組として相続人の数に含めることができませんし、また孫を養子にする場合は、相続税が20%増しになったりするのでこれは要注意です。

なお、参考までにお伝えしますと平成29年1月31日には、最高裁の判決で「相続対策のための養子縁組は有効とする」という新しい判断も出されていますので覚えておくといいでしょう。

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