実際に認知症を疑う症状がみられたら、どのような病院を受診すればいいのでしょうか。そして認知症と診断されるにはどんな「検査」が行われて、どんな「治療法」があるのかをこのページではまとめてみました。
認知症とはいえ、実際には初めて体験することですから、当然わからないことばかりです。しかし、認知症の検査と治療法についてすこしでもご理解されることで不安もなくなり、ご自身の生活を犠牲にすることなく、これからの親の老後を冷静に考えて生きていかれるためにすこしでも参考になればと思っております。
認知症で外来受診するとしたら「何科」?
セルフチェック法をためしてみて実際に認知症を疑うような症状があった場合には、まよわず「物忘れ外来」や「神経内科」、「老年科」、「脳神経科」などを受診するようにしましょう。認知症の診断には、専門医の経験だったり、高精密検査機材が必要だったりしますので信頼できる病院で受診されることがとても重要なポイントとなります。
そのためにも「紹介状」が必要なケースも多いので、かかりつけの医師に相談するなどして病院を紹介してもらうか、「地域包括支援センター」で地域の専門医療機関を紹介してもらうほうがいいでしょう。
また、自分でもインターネットで調べて親の不安を少しでも軽くできる専門医を探してみたいという方は、「日本認知症学会のホームページ」に認知症専門医や専門医のいる施設の一覧がありますのでお住まいの地域より探すこともできますのでこちらもお勧めです。
日本認知症学会のホームページはこちらです
↓↓↓
http://dementia.umin.jp/g1.html
ボケてないと受診を拒否する親を受診させる方法
実際には、認知症であろう症状が出てしまってから、「病院に行きましょう」と話されるのは、けっこう難しい面があります。なぜなら、認知症であろう親本人も毎日の生活のなかで「なにかがおかしい。今までとは何かが違う。」といった異変にもう気付いているからです。まわりの家族の言動も、症状がでている本人でさえ、すべてお見通しです。
そのため意外と多いのが、「私はまだボケていない、そんな病院は行かない!」などと言って受診を拒否する親です。だからといって怒ったり、無理やり病院を連れて行くようなことをせずに親のプライドや不安な気持ちを十分に理解してあげて、優しく思いやりのあるお言葉で話されることが必要です。
たとえば、「お父さんには、まだまだ元気でいてほしいから。だからこそ、検査をうけてみて。」と話されるのもいいでしょうし、かかりつけの病院の先生から直接言ってもらうのもとても効果的です。
認知症を診断する検査方法について
受診される検査当日は、日頃の症状を細かく説明することが必要になってきますので「症状をきちんと説明ができる人」や「親本人が安心して頼れる人」が一緒に行かれるといいでしょう。
検査方法としては、「一般的身体検査(尿検査、血液検査など)」や「脳の一般検査(脳波検査など)」が行われますが、その代表的なものに脳の状態をみる「画像診断検査」というものがあります。
画像診断検査は、よく聞かれるCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)というもので、脳に病変があるかどうか知るためのもので、脳の萎縮や血管の詰まりや腫瘍などの有無を画像などで確認することができる検査なのです。
また、癌の検査で知られているPET(陽電子放射断層撮影)という検査では、脳の新陳代謝やアミロイドβの沈着具合などをチェックできたり、SPECT(単一光子放射断層撮影)という検査では、脳の血流の様子を見たりすることができますのでどちらも認知症の早期発見や診断には、はずすことができないとても重要な検査といえます。
この他、認知症を診断するには知的機能を測定する「心理テスト」も行われます。
どのようなものかと言いますと「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」や「MMSE(ミニメンタルステート検査)」と言われるものです。
改訂長谷川式簡易知能評価スケールの一例をあげてみますと
・これから言う3つの言葉を言ってみてください。
あとでまた聞くので覚えておいてください。
・100から7を順番に引いていってください。
・しっている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
などといった質問に答えることで記憶力や理解力を調べるテストです。
認知症の進行を抑える治療法
検査を終え、認知症と診断されると実際にはどのような治療になるのかとても気になるところですが、まずは認知症になった原因を追究し、それに即した治療が必要になってきます。
たとえば、その原因がアルツハイマー病による認知症だったとしたら、病気そのものを治す薬がありませんので、進行を抑える薬から治療をはじめることになります。
ですが、同じアルツハイマー病であっても服用する薬は違ってきます。比較的初期の症状ならアリセプト(ドネペジル)、軽度~中程度なら、レミニール(ガランタミン)、リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ(リバスチグミン)といったようにです。
もちろん症状が重くなる中~重度の認知症になってしまうとメマリー(メマンチン)といったきつい薬を使っての治療となるわけです。
一方、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症が原因の認知症なら、基本は手術などの治療法になりますが、患者にあった適切な治療を行うことで認知症の機能改善はほぼほぼ期待できます。
つまり、認知症治療において大事なことは、早期発見できるかどうかがカギであり、治療期間においても大きく差がでてきてしまうわけです。